今は昔、藤六という、歌詠みの名人がいた。 さてこの藤六が、ある下人の家に忍び込み、 誰もいないなと思いながら、鍋の煮物をすくっていると、 水汲みを終えた下人の女房が、 表から戻ってきた。
戻った女房。 藤六がそんなふうに鍋のものをすくい、食っているものだから、「やい、どういうわけで人もいないところへ入り…
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一度は聞いたことのある有名な戦国武将。その戦国武将を支えた女性たちは、刀剣を手に戦っていました。時代劇や戦国時代の映画にも出てくる帯刀した姿の女性たちは、歴女も憧れる存在です。ここでは「花嫁道具としての刀剣」、「女性の武芸指南役」、「女性に人気の刀剣・武術」のお話を通して、そんな女性たちが身に付けていた「懐剣…
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むかしむかし、ある村に、おばあさんと美しい娘が二人で暮らしていました。 ある年の田植えの季節に、おばあさんは町へ買い物に出かけました。 帰りに田んぼのあぜ道を歩いていると、ヘビがカエルを追いつめて、今にも飲み込もうとしています。「これこれ、何をする。許しておやり。欲しい物があれば、わしがやるから」 カエルを…
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あるところに、貧乏な親子がいました。 貧乏でふとんもないので、寝る時はいつもござをかぶって寝ています。 しかし親父さんは、「息子よ。人前では決して、ござをかぶって寝ているなどと言うなよ。人前ではふとんで寝ていると言うんだ」と、いつも言い聞かせていました。
ある日の事、親子が隣の家へ遊びに行き、ふと親…
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絵巻物を見ていると、僧に仕える稚児が数多く描かれています。性的対象にもなった稚児ですが、その姿は垂髪にして束ねたものが多く、着物は古くは水干だったそうです。今回紹介するのは、高僧に寵愛された稚児たちのちょっと切ない話。
『古今著聞集』巻第8 好色第11「仁和寺覚性法親王の寵童千手・三河の事」
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タイトルからは一体どんな話か想像がつかない話。なぜ墓の穴に入るのか、そもそも生きている大の男が入れるほどの大きな墓の穴などあるのか。読んでみると、現代ではなかなかあり得ないものの、中世には「そういうことも確かにあっただろう」と思える話であることが分かります。時代を超えて伝わる「説話」を読む楽しさが感じられる作…
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中国製の墨を「唐墨」というのに対し、日本の墨を「和墨」といいます。その「和墨に関する唯一の文献」(植村和堂「墨」、日本大百科全書[ニッポニカ]、JapanKnowledge)とされるのが、『古今著聞集』に収録されている本話です。「松煙」は、松を燃やしてとった煤(すす)のことで、転じて、その煤をにかわで固め…
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教科書では、保元の乱で敗死したことで専ら知られる藤原頼長は「日本第一の大学生、和漢の才にとみて」(『愚管抄』巻第4)と評された当代随一の学者であり、読書家でした。宋の商人から書籍を贈られた頼長は、謝礼の砂金を下賜するだけでなく、必要とする書籍の目録を与え、その入手を依頼しています。頼長の飽くなき知的探究心が垣…
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芥川龍之介の『羅生門』の出典となった『今昔物語集』の作品の現代語訳。平安時代、羅城門の上層には数多くの死人が打ち捨てられていたそうです。その暗闇の中、火をともし、死人の髪をむしり取る老婆。連子窓からその様子をのぞき見た盗人が刀を抜いて走り寄る……。芥川は、「盗人」を「下人」とすることでストーリー性を持…
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桓武天皇の御子である高陽(賀陽)親王は、優れた細工師としても知られていました。御子が、田に立てた人形は「かかし」ではなく、ユーモラスなからくり人形。そのからくり人形を目当てに、京中の人が市をなして集まったことにより、懸案の問題が見事に解決されます。遊び心と知恵に富み、また風流人でもあったという御子の魅力に…
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更新案内3月13日
渚の雑談の小部屋からの、移転・転送 案内です!
徒然草子1巻、説話記事数 29 完結
畏怖草子は移転・転送 ・更新、運営になります
更新は毎2回は変わりません
今後もよろしく、楽しく御朗読して下さい!
2012/3~2025/3 迄 過去ログ
ホームページ渚の雑談の小部屋…
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「人麻呂影供」(ひとまろえいぐ)とは、歌人が集まって「歌の聖=歌聖」として尊ばれた柿本人麻呂の肖像を祀り、和歌を詠ずる儀式のこと。本話はその由来を記しています。元永元年(1118)、藤原顕季が行ったのが初めで、鎌倉時代には、影供歌合(影供のために催す歌合)がしばしば行われました。
『十訓抄』第4「人の上…
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今回の説話は『今昔物語集』の「土佐国の兄妹が知らない島に住む話」。親と生き別れ、無人島に流されてしまった少年少女の兄妹が、島を開拓、土着繁栄していく話です。私は『ロビンソン・クルーソー』などの、いわゆる漂流・無人島漂着譚に興味がありますが、「説話」にもそうした話があるのですね。説話の世界の“豊かさ”を感じ…
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『十訓抄』は、建長4年(1252)成立にした説話集で、10条の徳目を掲げ、それぞれの徳目にふさわしい説話を収めた幼少者用の啓蒙書です。今回は、徳目の「第9 懇望を停むべき事」の中で紹介されている、『方丈記』の著者、鴨長明の出家にまつわる話を紹介します。
『十訓抄』第9「懇望を停むべき事」の7
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『古事談』(源顕兼 編)は、上代以来のわが国の説話460余話を、6編(第1:王道后宮、第2:臣節、第3:僧行、第4:勇士、第5:神社仏寺、第6:亭宅諸道)に分類した、鎌倉前期成立の説話集です。今回は、その中から「蜂飼大臣」として知られた京極大相国こと、藤原宗輔のちょっといい話を紹介。
『古事談』第1「王…
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「犬は小神通の物なり」という一節が気になって、そのことを調べながら現代語訳してみました。藤原道長、安倍晴明、道摩法師(芦屋道満)と有名どころが登場します。また、白犬の活躍が本話のユニークさを際立たせています。
『古事談』第6「亭宅諸道」の62
現代語訳
入道殿が法成寺を建立し、日々お参りされていたころ…
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今回の説話は『今昔物語集』の「母牛が狼を突き殺す話」。ある日、放ち飼いのまま、田んぼに置き去りにされた雌牛と子牛。夕暮れ時に、大きな狼が現れ、子牛を付け狙いますが、雌牛は、狼に向き合い、辛抱強くその襲撃を防ぎます。そして、機を見て突進、狼の腹に角を突き立てて壁に押し付け、そのまま一晩中動かずに立っていたと…
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今回の説話は『今昔物語集』の「阿蘇史が盗人に遭ってはかり逃がれた話」。「史」は、令制の四等官の最下位である「主典」(さかん)のうち、神祇官、太政官の主典のこと。本話では、主人公の阿蘇某という史が、公務を終え、夜更けに牛車に乗って家に帰る道すがら、盗人に襲われます。しかし、したたか者の史は、悠々と盗…
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今回の説話は『今昔物語集』の「参河国に、犬頭糸を始める話」。「犬頭糸」(いぬがしらのいと・けんとうし)は、平安時代、三河国から「調」(令制下での租税の一つ)として納められた白糸のこと。「犬頭」という奇妙な名が付されているのはなぜか、本話はその由来を伝えています。
『今昔物語集』巻第26-11「参…
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今回の説話は『今昔物語集』の「近江の鯉と鰐が戦う話」。 鰐(わに)はサメの古称とされますが、鯉とサメが戦っても、とても勝負になるとは思えません。鯉がすみかにしている竹生島の霊験譚等、何か特別な力が働いたものとして描写されているわけでもありません。しかもそれが鯉の勝利で終わるという不思議な話です。この話の成立背…
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今回の説話は『今昔物語集』の「震旦の僧長秀、この朝に来て医師として仕えさせられる話」。10世紀半ばの村上天皇の治世に、唐から来朝した僧であり医師でもあった長秀が、本朝で初めて「桂心」を見付け、医薬として用いたという話。桂心は桂皮、桂枝ともいわれ、現代でも葛根湯など多くの漢方薬に配合されています。
『今昔…
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今回の説話は『今昔物語集』の「藤原保昌朝臣が盗賊の袴垂に会う話」。相手が武勇に優れる藤原保昌とは知らず、襲い掛かろうとする盗賊の袴垂。最後は半ば破れかぶれになり刀を抜いて走り掛かりますが、保昌が一喝。保昌は観念した袴垂に自宅までついて来させるのですが、その理由が豪胆な者ならではのもの。かえって底知れない不気味…
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今回の説話は『今昔物語集』の「駿河前司橘季通が、かろうじて逃げた話」。季通が高貴な家の女房と深い仲になりますが、その屋敷に仕える侍たちにねたまれ、袋叩きにあう危機に。女房の部屋から出れば命はない、途方に暮れる季通を、迎えに来た従者の小舎人童が、まさかの手立てで救い出します。実に痛快無比!
『今昔物語集』巻第…
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今回の説話は『日本霊異記』の「力の強い女が力くらべをした話」。8世紀前半の聖武天皇のころ、岐阜県での話。狐の血筋を引いた百人力の女と、雷神の申し子で強力で知られた道場法師の孫の女との力くらべが描かれています。当時の「市」の様子を垣間見ることもできます。
(『日本霊異記』中巻第4「力ある女、力…
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今回の説話は『日本霊異記』の「雷の好意で授けてもらった強力の子の話」。6世紀後半の敏達天皇のころ、愛知県と奈良県での話。頭に蛇が二重に巻きつき、蛇の首と尾が背中に垂れている姿で生まれた雷神の申し子(後の道場法師)が、王との力くらべや元興寺の鬼退治、水利争いで活躍します。
『日本霊異記』上巻第3
「…
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ホワイトデーとは
毎年3月14日は、男性が女性にバレンタインデーのお返しをするホワイトデーです。実は、ホワイトデーが生まれたのは欧米ではなく日本。3月14日に男性から女性へプレゼントを贈るのは、世界的に見ると珍しい風習です。ホワイトデーとはどんな日なのか、海外と日本との違い、ホワイトデーの歴史等について解説…
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今回の説話は、『日本霊異記』の「狐を妻として子を生ませた話」。6世紀中ごろの欽明天皇のころ、岐阜県での話です。キツネの語源譚としても知られています。
『日本霊異記』上巻第2
「狐を妻として子を生ましめし縁」
現代語訳
昔、欽明天皇<この天皇は、磯城嶋(しきしま…
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悲しくて悲しくて
泣いてばかりだったあの頃
苦しく困り果て頭を抱え
途方に暮れたあの頃
忘れようにも忘れられない
胸が張り裂けそうに辛かったあの頃
人生、誰にでもあると思います。
辛い過去は
無理に忘れなくて良いと思います。
それより今を大事に進みましょう
今、出来る事を考えましょう。…
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二人の男が、こんな事を話し合っていました。「おれは、金という奴はかたきと思うが、お前はどうだ?」「全くだ。たかが金の為に、命を無くした奴もいるんだからな」「そうさ。だからおれは金を見ると、すぐに使ってしまうんだ」「なるほど。それは良い心がけだ。かたきは、無くしてしまうに限る」「だが、最近はそのかたきに巡り会…
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