二人が夢中で語り合っているうちに夜が明けてきました。
「兵をみな都へ帰してください。こんなに大勢いなくとも田村殿と私がいれば高丸を討つことなどたやすいことです。」
鈴鹿御前がそう言うのであればと、俊宗は兵を都へ帰しました。そして、神通の牛車に乗って高丸のいる島へと飛び立ちました。
そこは陸地…
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これも今は昔。 後朱雀院が、病にかかられ、重篤になられた際、 このまま地獄へ落ちるのではないか……と、 死後のことをお気になされた。
そんな折、夢に、御堂入道・藤原道長がやって来て、 申し上げるには、「丈六の仏様をつくる者は、子孫に至るまで決して悪道に墜ちることはございません。 私は多くの丈六仏をおつくりしま…
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むかしむかし、あるけわしい山のふもとに、家が二十軒ばかりの小さな村がありました。 ある年の正月の夕方のこと、どこから来たのか、吹雪の中をまずしい旅姿の母と娘がこの村を通りかかりました。 歩きつかれた母と娘は一晩泊めてもらおうと、村の家々をたずねましたが、見知らぬ者を泊めてくれるところはありません。 でもやっ…
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ある春の日の事。 ある長屋(ながや)の一行が桜の花が咲きほこる川辺に、花見見物に出かけました。 さて、一通りの見物をすませて小腹の空いた一行は、持って来たさくらもちを食べる事にしました。 その一行の中の一人に食い意地の張った男がおりまして、さくらもちに巻いてあるかわ(→葉っぱ)ごと食べています。 それを見て…
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