第8話~牛鬼 大晦日

 むかしむかし、ある海辺の村に、貧乏な夫婦がいました。 二人は毎日、浜に出て魚をとったり貝をほったりしては、それを売ってくらしていました。 ある年の、大晦日の事です。 普通なら仕事を休んで、お正月の支度をするのですが、貧乏な二人はいつもと変わりなく浜へ出かけました。 冷たい風が吹くなか、二人が魚や貝をとってい…

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巻四 (67)永超僧都、魚食ふ事

  これも今は昔。 奈良の都の永超(えいちょう)僧都は、 魚が無ければ、午前も午後も、いっさい食事をされないような人だった。  さてこの永超僧都。 ある時、朝廷の法会のためしばらく京都へ滞在していたが、 その間、魚を食べることができなかった。 そうして、ヘロヘロになって奈良へ戻る途中、 奈島の丈六堂で弁当を食べ…

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第51話~番町皿屋敷

 むかし、江戸の番町のあるお屋敷に、おきくという、美しい腰元(こしもと)がいました。 腰元とは、殿さまの身のまわりのお世話をする女の人です。 お屋敷には、いく人もの腰元がいましたが、殿さまの青山播磨(あおやまはりま)は、おきくが大のお気に入りです。 いつも、「おきく、おきく」と、可愛がっていました。 ほかの腰…

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きいておいた

 庭の梅の木に、今年、初めて、うぐいすが飛んで来て、よい声で鳴いたのを聞いた男が、じまん顔で、となりの家にやって来て言いました。「今、庭で、今年一番のうぐいすの声を聞きやした」 すると、となりの男は、「お前のところは、遅いなあ。おれんところなんざあ、昨日も、おとといも鳴いてらあ」 それを聞いていた、向こうどなりの…

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