巻四 (68)了延に実因湖水の中より法文の事

   これも今は昔、了延房阿闍梨が、日吉神社へ参詣した帰り道のこと。 琵琶湖畔、唐崎の辺りを通り過ぎつつ、「有相安楽行 此依観思」 というお経を口にしたところ、波の中から、「散心誦法花 不入禅三昧」 と、続きの経文句を誦す声が聞こえてきた。  不思議の念を覚え、「いかなる人がおわしますのか」 と問う…

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72夜~火消婆(ひけしばば)

  前編~ 晦 72夜~火消婆(ひけしばば) 火消婆(ひけしばば)は、鳥山石燕による江戸時代の妖怪画集『今昔画図続百鬼』にある日本の妖怪。 人家の中の提灯や行灯などの火を吹き消す、老婆の姿の妖怪。陰気の存在である妖怪は火などの陽気を苦手とするため、その火を消す存在が火消婆だとされる。…

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第52話~お菊ののろい

 むかしむかし、上州(じょうしゅう→群馬県)に、小幡上総介(おばたかずさのすけ)という侍(さむらい)がいました。 とても短気で乱暴な男でしたが、お菊(きく)という美しい女中(じょちゅう)をとても気に入っていました。 ある朝、上総介(かざさのすけ)がお菊の運んできた朝ご飯を食べようとしたとき、ご飯の中に何やらキラリ…

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まんじゅうのためしぎり

 殿さまが、新しい刀を手に入れました。 毎日毎日、刀をながめていましたが、それにもあきてしまい、ある日家来に言いました。「この刀で、一度ためしぎりをしてみたいものだな」「はい。その刀なら、さぞかしよい切れ味でしょうな」「うむ。だが、まさかふく面をして、つじぎり(→刀の切れ味を確かめる為、街頭で人を切る事)をす…

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