さて、鈴鹿御前との別れから三年、彼女の予言通り俊宗に宣旨が下されました。
「陸奥の国の霧山ヶ岳に大嶽丸という鬼が現れた。こやつは我々を滅ぼし、日本を魔物の住みかにしようとしている。急ぎこれを討て。」
俊宗は大嶽丸との戦いに備えて葦毛の駿馬を用意していました。この馬に金覆輪の鞍を据えて、腰にソハヤノツルギを…
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これも今は昔。 伏見修理大夫のもとへ、突然、殿上人が20人ほども押し寄せた。 このため屋敷は大騒ぎ。 饗応といっても、肴を用意する暇もないので、 高価な机に、ただ時節の果物を並べただけというありさまだった。
それでも、一同は、盃を重ねるうちに興が乗り、 庭へ繰り出して遊び回っていたが、 ふと馬小屋に、額の…
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むかしむかし、旅のあめ屋が山をこえる途中、道にまよってしまいました。 日はくれてくるし、家はないし、あめ屋はとても心細くなりました。「なにか、おそろしいものが出ないといいが・・・。でも、こういうときほど、なにかが出るんだよな」 あめ屋がこわごわ歩いていくと、どこからともなく子どもの泣き声が聞こえてきました。…
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ある日、両国橋(りょうごくばし)の橋の番人が、番所(ばんしょ→役所のようなもの)に呼び出されました。「聞くところによると、毎晩の様に橋の上から身投げ(→飛び込み自殺)があるそうではないか。なぜ、気をつけぬ」「へい」「『へい』ではない。今晩から、気をつけて見張れよ。分かったな」
さて、その夜。 橋の番人が…
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