『土蜘蛛 ~世にも不気味な化け物』

石にまつわる「土蜘蛛伝説」 京都市上京区にある、北野天満宮。その二の鳥居の西側にある東向観音寺(ひがしむかいかんのんじ)の境内の一角に、柵に囲われた小さな祠があります。 その中には、石灯籠の火袋(火を灯すところ)とされる苔むした石が収められていますが、この石が、世にも不気味な妖怪「土蜘蛛(つちぐも)」の伝説に…

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巻五 (72)以長、物忌の事

    これも今は昔。 大膳亮大夫、橘以長(もちなが)という、五位の蔵人がいた。  宇治の左大臣殿から呼ばれた際、「今日、明日は、かたく物忌みをしておりますゆえ」 と返答したところ、「これはいかに。役人として世にある者が、物忌みなどと言っている場合か。必ず参れ」 と、厳しい言葉なので、物忌みの中断を恐ろしく思い…

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第56~見たな!

 むかしむかし、都でも名のある屋敷に、どこからともなく一人の美しい女がたずねてきました。「どうか、お屋敷で働かせてください」 屋敷には女中(じょちゅう)が大勢いましたが、奥方は女の気品の良さが気に入って、しばらくおいてみることにしました。 すると、言葉使いといい、こまやかな気くばりといい、もうしぶんあ…

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ためしぎり

 ある武士が、新しい刀を買いました。「何とか、切れ味をためしてみたいが」 そこで友人に相談しますと、友人が言いました。「そんな事なら、橋の上のこじきを切ってみれば、よかろうに」「うむ、それは名案(めいあん)。さっそく、今夜にもためしてみよう」 そこで二人は暗くなるのを待って、橋へと出かけました。 やがて橋にさ…

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