巻五 (75)同清仲の事

   陪従清仲の事  これも今は昔。 二条大宮は、白河院の姫宮で、鳥羽院の育ての母。 二条の北、堀川の東あたりにお住まいであった。  ある年、大宮がお住まいになる御所の一角が崩れていたので、 大蔵卿・源有賢(ありかた)が、 備後国司に再任用されたお礼として修理することとなり、 この修理が済む…

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第11話~鬼のうで

 むかし、なにわの町に、とても大きなお店がありました。 このお店のだんなは裸一貫からこの店を築き上げた、なにわの町では有名な人です。 さてこのだんな、けちでも有名でした。 なにしろ、おならを出すのも自分の舌を出すのも、もったいないと言うくらいです。 ある時だんなは、小僧さんをつれて用たしに出かけました。 しばらく…

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第59話~死なないお坊さん

 むかしむかし、十八歳のときから合戦に出て、いくつもの手柄をたてていた武士がいました。 ところが三十三歳になったとき、人が殺しあうむなしさを感じて、とつぜん頭をそってお坊さんになってしまいました。 それからは法然上人(ほうねんしょうにん)の教えを守って、きびしい修行を重ねていました。 出家してから、四十六年が…

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サルがにる

 あるところに、サルにそっくりな顔の殿さまがいました。 ある時、殿さまが家来に尋ねました。「おい、三太夫(さんだゆう)。 わしが歩いていると、見る人、見る人が、わしの事を『サルじゃ、サルじゃ』と言うが、わしの顔は、そんなにサルに似ておるのか?」 すると三太夫は、言葉を選びながら言いました。「それは、とんでもな…

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