巻五 (77)実子に非ざる人、実子の由したる事(下)

 さて、若主人は、 常々、自分を「親の子ではない」と陰口をたたいている連中を呼び、 この老侍の口から、本当は親とよく似ているのだと言わせてやろうと、 後見役を呼び出すと、「明後日、当屋敷へ大勢がやって来るというから、 しかるべく準備をして、もてなしに粗相の無いようにせよ」 と言うと、後見役はまた、「む」 と返…

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巻五 (77)実子に非ざる人、実子の由したる事(上)

   これも今は昔。 あるところに、父親と血のつながりがないと噂される若主人がいた。 世間ではその噂を聞くにつけ、親に似ない若主人を馬鹿にしていた。  さて、この若主人の父たる人が亡くなった後、 屋敷に奉公していた侍の一人が、妻とともに京都を出て、田舎へ帰っていたが、 妻が死んでからはどうすること…

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鈴鹿御前の物語~別れ、そして再び~

帝は大嶽丸を討った俊宗に様々な褒美を与え、盛大にお祝いしました。 しかし、俊宗は鈴鹿御前のことが気がかりで喜ぶ余裕もありません。祝宴もそこそこに、急いで鈴鹿山の屋敷に向かいました。 屋敷に到着して門をくぐったところ、人の泣く声が聞こえてきました。俊宗はもう気が気ではありません。 急いで部屋へ入ってみると…

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朱雀門に棲む鬼

鬼の住み処、朱雀門 山背国(やましろのくに)の葛野郡(かどのぐん)と愛宕郡(おたぎぐん)にまたがる地に造営された平安京。桓武天皇は10年間住んだ長岡京を捨て、永遠の平和を願い、794(延歴13)年に都を平安京に遷しました。 平安京は東西4.5キロメートル、南北5.2キロの広さで、その中央には南北にわたる朱雀大…

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第61話~狩人とネコまた

 むかしむかし、あるところに、とても腕のいい狩人(かりゅうど)がいました。 狩人は毎日、犬をつれては山に入って、えものをとっていました。 ところが、ある日のこと。「おかしいな。きょうは、ちっともえものがおらん」 狩人はえものをもとめて、いつしか山奥に入りこんでいきました。 すると、日がくれてしまいました。…

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こやしとおもう

 ある武士が、田舎道を歩いていました。「ああ、疲れたわい」 武士が一休みをしていると、ちょうどそこへウマを引いたお百姓が通りかかったので、武士はそのお百姓のウマに乗せてもらうことにしました。 しばらくいくと、武士はむしょうにお腹が痛くなって、「プウー、プウー」と、おならをしてしまいました。 そのおならのくさい…

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