一乗寺の僧正は、大和の大峰山を二度踏破されたことのある高僧だった。 蛇を見る法を、行ったという。 また、龍の駒ほどの名馬を見るなど、おかしなありさまで修行をされた人であった。
僧正の宿坊は、坊の一二町も手前から賑わっていた。 田楽や猿楽などをする輩が集まり、 随身、衛府の役人たちの…
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これも今は昔。 一乗寺僧正、御室戸僧正という三井寺の門流に、 二人のやんごとない方がいらっしゃった。
御室戸の僧正は、大宰権帥・藤原隆家の第四子で、 一乗寺の僧正は、その子供の大納言・藤原経輔の第五子であった。
御室戸の僧正を隆明といい、一乗寺の僧正を、増誉といった。 二人とも…
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光源氏のモデルになった人物
紫式部の長編小説『源氏物語』の主人公、光源氏。美男子として描かれている光源氏は、もちろん、架空の人物ですが、その光源氏にはモデルとなった人物がいました。その人物とは「源融(みなもとのとおる)」です。
源融は822(弘仁13)年に、第52代・嵯峨天皇の皇子として生まれまし…
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むかしむかし、ある藩(はん)に、ご城代役(じょうだいやく)をつとめている侍がいました。 この人は大変、風流(ふうりゅう)を好む人です。 ある日の暮れ方のこと、近くの川原をぶらりぶらりと歩いていると、畑の中に何か黒い物が立っています。(はて? とうろうのようであるが)と、そばへいって見ると、古びてはいます…
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酒に酔った貧乏侍が、あっちへふらふら、こっちにふらふらと歩いていました。 それを子どもたちが見つけて、「やーい、酔っ払い。やーい、酔っ払い」と、からかいました。「なっ、なんだ? 酔っ払いが、どこにいるんだ? うん、おれの事か? おれは酔っているが、酔っぱらってはおらんぞ。 だいたい、おれの金で飲んで、おれが…
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