第13話~油屋の娘

 むかしむかし、ある村に、魚釣りの好きな三人の男がいました。  ある日のこと、三人が夜に川で釣りをしていると、川むこうにボーッと赤い火が浮かびあがりました。 「なんだろう?」  三人が不思議に思って見ていると、火はパッと消えてしまいました。 「よし、わしが何の火か調べてやる」 と、三人のうちの一番勇…

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巻五 (81)大二条殿に小式部内侍、歌読みかけ奉る事

    これも今は昔。 大二条殿こと藤原教通は、小式部内侍のことを目にかけていたが、 いつか訪れることが稀になっていた。  そんな折、教通は病にかかり、長く患ってしまったが、 やがて回復して、久しぶりに上東門院のもとを訪れた。 そして帰りしな、控えの間にいた小式部に対して、「わしが死にそうであったと…

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第65話~幽霊船

 むかしむかし、いく人かの漁師が船にのりこんで、とおくの海へカツオをとりにでかけました。 ところがめざす海へつかないうち、夜になってしまいました。 帰ろうにも向かい風が強くて、船は思うように進めません。「おや、あれはなんだ?」 見張りの男が、向かい風に逆らいながら近づいてくる船を見つけました。 船べりにも、ほづな…

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なりたがる

 ここは、四条河原(しじょうかわら)の橋の下です。 橋の下では、、こじきたちが集まっておしゃべりをしていました。「近ごろは、どうだい?」「そうだな。役人どもがだらしないから、米や油が高くなって町の人は困っているそうな」「そうらしいな。町の人たちも、可愛そうに」「それに比べりゃ、こちとら米を買ったり、油を買った…

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