むかしむかし、京の都に、藤原経行(ふじわらのつねゆき)という若い男がいました。 夜遊びが好きな男で、いつもこっそり屋敷を抜け出しては、町へ遊びに出かけていました。 ある日の事、経行(つねゆき)が馬をひくお供の者を一人つれて、いつものように屋敷を抜け出すと、むこうからたくさんの松明の明かりが近づいてきます。「あれ…
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第五巻の(渚の独り言)後記
コメント
さて、第五巻までの現代語訳が終り、何となく、折り返し地点が見えてきた感じです。
もっとも、折り返し地点が見えたところで、先は果てしなく遠いですが。
第五巻の第一巻で堪能した、「宇治拾遺物語らしさ」が戻ったような気がします。下ネタ、阿呆話。けれどそれ以外では、長…
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これも今は昔。 比叡山の横川に、賀能ち院という、破戒無慚な僧侶がいた。
昼夜を問わず、仏に供えられたものを奪って、使い込んでばかりいたが、 それでもある程度上級の、執行(しゅぎょう)の地位にあった。
ある日。 この賀能が、寺の政所へ行く途中、 塔の下をとおりかかったところ、色々なものが捨て置かれている…
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むかしむかし、ある山里の娘が、町へ働きにいきました。 店の人たちにも可愛がられ、とてもよく働く娘でしたが、三年もたたないうちに胸の病(やまい)にかかってしまいました。「約束の給金(きゅうきん)の他に、これは薬代だよ。病が治ったら、またきておくれ」 店の主人にいわれて、娘はなくなく山里へ帰りました。 娘のとなりの…
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侍が住吉神社(すみよしじんじゃ→大阪の住吉)の参道(さんどう→神社に参拝するためにつくられた道)で、しゃっくりが出て、止まらずに困っておりました。「誰か、しゃっくりを止めてくれぬかのう。礼はするのだが」 すると、道ばたに寝ていたこじきが、むくむくと起き上がり、いきなり、「おのれ、親のかたき、覚悟しろ!」と、…
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