巻六 (83)廣貴、炎魔王宮へ召る事

  これも今は昔、藤原廣貴(ひろたか)という男がいた。 死んだ後、閻魔の庁に呼ばれて、閻魔大王の御前と思しきところに参上したところ、 大王が言うには、「おまえの子供を孕み、産もうとした女が死んだ。 女は地獄に落ち、責苦を受けているが、心にかかることがあると申しておるゆえ、 おまえを呼んだのだ。まず、そのような…

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第15話~戻橋の鬼女

 むかしむかし、源頼光(みなもとのらいこう)の家来で、渡辺綱(わたなべのつな)という人がいました。 綱はとても優れた武者で、主人の頼光からとても大事にされていました。 ある時、綱は主人の言いつけで、京のはずれまで出かけることになりました。 その帰り道のことです。 一条戻橋(いちじょうもどりばし)にさしかかった…

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第67話~小野小町のどくろ

 むかしむかし、京の都に、在原業平(ありわらのなりひら)という有名な歌人がいました。 六歌仙(ろっかせん→平安時代を代表する、六人の和歌名人)の一人で、また、たいそうな美男子でしたから、女性にも、ずいぶんともてたそうです。 この業平が若い時、二条の妃を館から誘い出そうとして、妃の兄弟に見つかってしまいまし…

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いじっぱり

 あるところに、とてもあわてん坊な男がいました。 この男、お風呂に入る時にうっかりして、ずきんとたびを脱がずに入ってしまいました。 それを見ていた人が、男に注意しました。「これ、そこの人。風呂に入るなら、たびを脱ぎなされ」 男は言われて、自分がたびを脱ぎ忘れた事に気づきましたが、今さら脱ぐのも恥ずかしいと思い…

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