民話···鬼と煎り豆


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むかし、ある年のこと、ひでりが続き稲が枯れはじめた。困りはてた百姓が「誰でも良いから、雨を降らせてくれたら、一人娘のおふくを嫁にやるがなぁ」とつぶやいた。すると鬼があらわれ、「お前が今言ったことは本当か」という。
「 村中の田が豊作になるように雨を降らせてくれたらな···」と約束する。

しばらくすると、雷が鳴り、雨が降り、3日晴れると1日雨が降った。秋になり稲は豊かに稔った。すると、鬼があらわれ「 約束通りおふくを嫁にくれ」という。おふくは、鬼のおかげで村が救われたと鬼の嫁になる。

おふくが嫁に行く日、母親は菜の花のタネをおふくに持たせ、鬼のところへ行く道すがらタネをまくように言いつける、おふくは山深い 鬼のところへ嫁いで行った。

やがて春になり雪がとけた、おふくが外へ出ると、菜の花が列をなして美しく咲いている。
おふくは母親が恋しくなり、 菜の花の列を頼りに家に逃げ帰る。

おふくを追ってきた鬼は、おふくをかえせとわめく、母親は煎った豆を戸の隙間から投げ、この豆を植え、花を咲かせて持ってくれば、おふくをお前にやろうという。鬼は豆を育てようとするが芽が出ない。翌年も、その翌年も、母親のところへ来て、煎り豆をもらい、育てようとするが芽が出ない。そのうち、鬼はこなくなった。 これが 節分の豆まきのはじまりだ、というはなしです。



狂言 「節分」

節分の夜、夫が出雲大社へ年越しのお参りに出かけ、妻が1人で留守番をしていると、蓬来(ほうらい)の島から鬼がやって来た。 美しい人妻に一目惚れした鬼は、恋の小唄をうたいながら言いよるが、女は受け付けない。鬼はとうとう泣き出してしまう。その様子を見ていた女は、なびくと見せかけ、鬼の隠れ笠、隠れ簑、打出の小槌を取り上げ、家の中に入れる。鬼は大喜びで亭主気取りでご機嫌。女は頃はよしと、煎り豆をとり出し「 福は内、鬼は外」と鬼に投げつける。 鬼は慌てふためき逃げ去っていく。



次回、
大江山の鬼


See You Again  by-nagisa

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