あごとかかと


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 江戸の街角で、二人の武士がけんかを始めました。
「このやろう」
「なにお・・・」
 二人は刀を抜くと、
「ていやー」
「とりゃー」
と、切り合いました。
 そして一人があごを切り落とされ、もう一人が足のかかとを切り落とされたのです。
 すると、近くを通りかかった年寄りが止めに入りました。
「まあまあ、どういう事情があるのか知りませぬが、切り合いなんぞ止めてくだされ」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
 二人は刀をおさめると、互いに切り落とされた物を拾って帰りました。

 その頃、江戸には『どうも』という名医と、『こうも』という名医がいました。
 一人の武士は『どうも』のところへ、もう一人の武士は『こうも』のところへ行って治療すると、切り落とされた物を見事にくっつけてもらいました。

 しかしどこで入れ違ったのか、一人のかかとからはひげが生え始め、もう一人のあごには、冬になると、あかぎれがきれるということです。

♪ちゃんちゃん

(おしまい)




See You Again  by-nagisa

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