昭和の日とは


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「昭和の日とは」

ゴールデンウィークを構成する祝日のひとつである、4月29日の「昭和の日」(しょうわのひ)は、昭和時代を思うことを趣旨にした祝日です。昭和の日という祝日ができた歴史と由来を解説します。




1、昭和の日はどういう日?

昭和の日は国民の祝日のひとつで、4月29日に設定されています。以前は「天皇誕生日」(てんのうたんじょうび)や「みどりの日」などと呼ばれていましたが、2007年(平成19年)1月1日に、昭和の日となりました。

「激動の日々を経て、復興を遂げた昭和時代をかえりみ、国の将来に思いをいたす」としており、「昭和時代を思い出し、日本という国の将来を考える」という意味を持つ日です。

激動と復興の時代、昭和時代

昭和時代は、激動と復興の時代と言われています。昭和時代に入って間もなくの1929年(昭和4年)には、アメリカから全世界に広がった「世界恐慌」が発生。日本も不況のあおりを受けましたが、1931年(昭和6年)の「満州事変」により、一気に好景気へと移り変わります。

そして1939年(昭和14年)、ナチスドイツのポーランド侵攻をきっかけに、人類史上最大の死傷者を出した戦争である「第二次世界大戦」が起こりました。日本も参戦しましたが敗戦国となり、戦後は連合国軍の占領下に置かれます。

しかしその後、日本は1950年(昭和25年)に始まった「朝鮮戦争」の特需による好景気から高度経済成長を迎え、復興へと歩みを進めました。1955年(昭和30年)には、「三種の神器」と呼ばれる白黒テレビ・洗濯機・冷蔵庫の家電3品目が登場します。1956年(昭和31年)には「もはや戦後ではない」と経済白書に明記され、戦後復興の終了を宣言できるまでに経済は回復したのです。

1960年代には「国民所得倍増計画」のもと好景気と消費ブームが起こり、経済がみるみる活性化。1985年(昭和60年)頃からは、資産の価格高騰でバブル経済に突入し、平成時代へと移ります。このように、激動の昭和時代には重要な歴史的転換点が多く、今もなお懐古する人も多いため、昭和の日が制定されました。



2、昭和の日の歴史・由来

昭和の日は、「天長節→天皇誕生日→みどりの日→昭和の日」と、3回名前が変わっている祝日です。

天長節:1927~1947年(昭和2~22年)

「天長節」(てんちょうせつ)は、8世紀から続く風習で、その時代の天皇の誕生日を祝う日です。「天皇の世がいつまでも続いて絶えることがないこと」という意味の「老子」の言葉である、「天は長く地は久し」から名付けられています。

天長節が国民の祝日になったのは明治時代以降。天皇が変わると天長節の日付も変わり、明治時代は11月3日、昭和時代は4月29日が祝日となってきました。大正時代は、本来は123代「大正天皇」の誕生日である8月31日となるはずでしたが、真夏の暑さで儀式の進行に支障が出ると考えられたため、大正時代の天長節は10月31日に決められたのです。

天皇誕生日:1948~1988年(昭和43~63年)

1948年(昭和23年)に国民の祝日に関する法律が制定され、それ以降、124代「昭和天皇」の天長節である4月29日は天皇誕生日と名前が変わりました。国民の祝日に関する法律によると、天皇誕生日は「天皇の誕生を祝う日」と定められています。

みどりの日:1989~2006年(昭和64年/平成元年~18年)

1989年(昭和64年/平成元年)に昭和天皇が死去すると、元号が「平成」となるのと併せて、天皇誕生日は12月23日に変更されました。昭和天皇の誕生日であった4月29日は、国民の祝日に関する法律により、平日になる予定だったのです。

しかし、4月29日が平日になるとゴールデンウィークに影響が出ることが懸念点として挙がり、その対策として、昭和にちなんだ新祝日を設置することで4月29日を祝日として存続させる案が出されました。

このとき決まったみどりの日と言う名称は、「自然に親しむと共にその恩恵に感謝し、豊かな心をはぐくむ」を祝日の趣旨としていたためです。昭和天皇は、植物に造詣が深く、自然を愛していたため、「緑」にちなむ名前が付けられました。

昭和の日:2007年(平成19年)~

2004年(平成16年)、自由民主党・公明党が国民の祝日に関する法律の改正法案を提出し、翌2005年(平成17年)4月に可決。この法律は2007年(平成19年)から施行され、4月29日は昭和の日となりました。みどりの日はそれまで国民の祝日であった、5月4日に移動しています。

その他天皇の誕生日が祝日になった例

11月3日は、122代「明治天皇」の誕生日であると同時に、日本国憲法が公布された日で、「文化の日」という祝日です。文化の日は、日本国憲法が平和と文化を重視していることから、「自由と平和を愛し、文化をすすめる」と言う趣旨。

皇居で文化勲章や褒章の授与式が行われたり、文化庁による芸術祭が開催されたりと、文化を身近に感じる日となっています。当初は「憲法記念日」となる案も出ましたが、当時日本を統治していたGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)によって却下されました。現行の天皇誕生日は、今上天皇が生まれた2月23日です。



3、まとめ

4月29日の昭和の日は、元々は昭和天皇の誕生日を祝う天長節で、そのあと天皇誕生日、みどりの日、昭和の日と名称が変更されました。元々は、ゴールデンウィークとなる祝日の日程調整のため、昭和時代の天皇誕生日を祝日として存続させる必要が生じて生まれた祝日。昭和時代には様々な歴史的事件や変化があり、第二次世界大戦など忘れてはならない出来事も数多くあるため、国民の祝日となっているのです。





See You Again  by_nagisa

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