つみな人だま


17408760757873933872292362241351.jpg







 あるところに、人情のかけらもない、強欲な金貸しがいました。
 約束の日がくれば、病人のふとんまではがしてくる男です。

 ある日の夕ぐれ、この男が貸したお金の取り立てに歩いていると、自分の耳の穴から、ふわーっと、人だまが抜け出して、どこかへ飛んでいってしまいました。
「たっ、大変だー!」
 人だまが抜け出すと、その人は長くても三年で死ぬと言われています。
 もしかすると、今日にも死ぬかもしれません。
「なんてこった。・・・ええい、仕方がない。こうなればたくわえた金を、死ぬ前に全部使ってやろう」
 こうして男は、どんどん金を使いました。

 数日後、男が全ての金を使って一文無しになったとき、人だまがひょっこり戻ってきて言いました。
「すまない、すまない。飛び出す日を間違えてしまった。おれが出て行くのは、あと五十年後だった。これからも、よろしくな」
「ばかやろう! 今頃帰ってきても、おそいわ!」

♪ちゃんちゃん

(おしまい)






See You Again  by-nagisa

この記事へのコメント