10~天皇誕生日とは
10~天皇誕生日とは
「天皇誕生日」は、1,000年以上の長い歴史を持ち、日本の転換期で大きな意味を持った国民の祝日です。天皇誕生日がどのような祝日なのか、どのような儀式が行われているのかについて紹介します。天皇誕生日の起源、廃絶と復活の歴史、名称が変わった理由などについて、時代背景とともに見てみましょう。
1、天皇誕生日ってどんな日?
天皇誕生日とは、天皇の誕生日を祝う、国民の祝日です。新しい天皇が即位すると、それに伴って祝日の日にちも変更されます。
平成時代は、「明仁上皇」(125代天皇)の誕生日である12月23日が天皇誕生日でした。
2019年(令和元年)からは、126代天皇である今上天皇の誕生日、2月23日となっています。また、天皇誕生日は「国家の日」です。国家の日とは、その国にとって特に重要とされる記念日で、日本では天皇誕生日と建国記念の日が該当します。
平成時代以前の天皇誕生日
現在では、122代「明治天皇」の誕生日は「文化の日」、124代「昭和天皇」の誕生日は「みどりの日」と制定。一方で、明仁上皇の誕生日は祝日として定められていません。存命である上皇の誕生日を祝日にすると、今上天皇との間で二重権威が生じる懸念があるとされるためです。
天皇誕生日に行われる行事
天皇の誕生日をお祝いするため、宮中では天皇誕生日に、
祝賀の儀
宴会の儀
茶会の儀
一般参賀
などの行事が行われます。
祝賀の儀・宴会の儀・茶会の儀は、立法・行政・司法機関の要人などが天皇にお祝いを伝える儀式です。一般参賀は、天皇と皇后が宮殿のバルコニーで参賀者の祝賀を受けます。一般参賀が始まったのは1948年(昭和23年)で、当時は現在のように天皇と皇后が国民の前に姿を現すことはありませんでした。
天皇が国民から直接祝賀を受けたのは、1950年(昭和25年)のこと。庁舎(ちょうしゃ:官庁の建物)のバルコニーに天皇と皇后が立ち、国民から祝賀を受けました。その後、宮殿造営のために一般参賀は中断されましたが、1969年(昭和44年)から現在の宮殿で行われています。
また、天皇誕生日には「伊勢神宮」(三重県伊勢市)をはじめとした各地の神社で、天皇の長寿と国民の安寧を祈る「天長祭」(てんちょうさい)を実施。また、海上自衛隊では、自衛艦に自衛艦旗や信号機などを掲揚する「満艦飾」(まんかんしょく)が行われます。
2、天皇誕生日の歴史・由来
天皇誕生日の起源は奈良時代
天皇誕生日の起源は中国で、748年(天平20年)に唐の皇帝である「玄宗」(げんそう)の誕生日を「天長節」(てんちょうせつ)として祝ったことがはじまり。
天長節は、古代の思想書で用いられた「天長地久」(てんちょうちきゅう)という言葉がもとで、天地が永遠に続くように、いつまでも続いて絶えることがない、という縁起が良い意味合いです。
中国での天長節が日本に入ってきたのは、奈良時代の49代「光仁天皇」(こうにんてんのう)が在位しているときでした。775年(宝亀6年)に日本で初めて天長節の儀が執り行われ、以後天皇の誕生日を天長節として祝うようになります。
明治時代に復活
その後日本は武家・将軍中心の社会となり、天長節はいつしか消滅しました。しかし、1867年(慶応3年)に「王政復古の大号令」が発せられ、天皇中心の明治新政府が樹立。1868年(明治元年)の「太政官布告」(だじょうかんふこく:明治時代初期の法令)で、明治天皇の誕生日を天長節とし、国家の祝日に制定したのです。
この時に天長節が復活した背景には、天皇の権威を強化したいという明治新政府の思惑がありました。将軍に代わって天皇を中心とした新しい体制に移行するために、政府は天長節などの祝日・祭典を活用したのです。その後、大正時代には、それまでの慣習とは異なり、天皇の誕生日ではない日が天長節になりました。
123代「大正天皇」の誕生日は8月31日で、猛暑の中で儀式を執り行うことが難しかったため、10月31日が天長節となったのです。そして昭和天皇が即位したのち、1927年(昭和2年)には明治天皇の誕生日が「明治節」と制定されます。この頃には、明治節と天長節、神武天皇の誕生日(紀元節)、元日(四方節)の4つを合わせて、「四大節」(しだいせつ)と呼ぶようになりました。
第二次世界大戦後に「天皇誕生日」へ改称
その後、日本は「第二次世界大戦」に敗戦。すると、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)から、日本の従来の祝祭日を廃止、もしくは名称の変更を迫られます。それまでの祝祭日が神道や天皇制と強く結び付いていることを、GHQは危険視していたのです。GHQからの圧力を受け、1948年(昭和23年)に祝日法が制定されます。天長節という名称は天皇の神格化につながる恐れがあるとGHQが考えたため、以後天皇誕生日という名称に変更されました。
3、まとめ
天皇誕生日は、天皇の誕生日を祝う祝日です。天皇誕生日の起源は中国で、それが日本に伝わり、奈良時代に天長節の儀式として執り行われました。その後、武士の時代には一度廃れましたが、明治時代に再び復活し、第二次世界大戦後に天皇誕生日と名称が変更されて、現在に至ります。天皇誕生日には、祝賀の儀・宴会の儀・茶会の儀・一般参賀などの行事が行われる他、各地の神社で天長祭が行われるしきたりです。
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