第十四夜~陰摩羅鬼の棘···後夜


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第十四夜~陰摩羅鬼の棘···後夜  
            (おんもらき)


「私のことかっ、それは!、私が歪んでいるっていうのかっ!、もう、どいつもこいつも、私をバカにしやがって!」
女は、立ちあがってマスターを睨んだ。
「くっそ、あの男もそうよ。私の言うことなんか一つも聞かなかった。タバコは臭いし、部屋が汚れるから止めてと言ったのに止めないで外で吸ってた。お酒だって家で飲むなと言ったのに毎日勝手に飲んでいた。勝手に酒を買いこんで勝手に飲んでいた。あぁ、もう、タバコ臭いし、酒臭いのよっ!。臭い臭い臭い!。そんな男みんな嫌がるのよ!。臭くてたまらないわ!」
女は頭をかきむしって叫んだ。マスターは、静かに女に尋ねる。
「タバコねぇ・・・どのくらい座れたのですか、その男性は?」
「一日一箱よ。そんな程度よ。でもね、臭いの、臭いの、臭いの。私が止めてって言ってるんだから、止めればいいのよ。私の言うことを聞いていればいいのよっ!」
「その男性は、ひょっとして御主人さん?」
女はマスターを睨みつけた。
「主人?、あんな者は主人じゃないわ!。あんな者はゴミよ!、ゴミ、生ゴミだわ!。たまたま一緒に住んでいたけど、、いいえ、住んでやっただけのこと、ゴミだわ、あんなヤツは!」
「これはまたひどい言われようですね。でも、御結婚されていたんでしょ?」
「えぇ、そうよ、学生時代から付き合っていて・・・仕方がないから結婚してやったのよ。くっそ、あんなヤツと一緒になったおかげで、私の人生は台無しだわっ!」
「そんなころから、御主人さんはタバコも吸っていたし、お酒好きでもあった。あなたは、それを承知の上で結婚した」
マスターの言葉に、女は急に静かになった。じっとマスターを睨みつける。やがて、唇がわなわなと震え始めた。
「な、なんだっていうの?。何が言いたいの?」
「いいえ、特には・・・・」
「私が悪いっていうんでしょ!、私が勝手なことを言っているって!。どいつもこいつも同じことを言うのよ。みんな私が悪いって!。えぇそうよ、私が悪いのよ。それでいいわ。でもね、私は正しいのよ!。間違ったことは言ってないわ」
確かにそうである。女は間違ったことはいっていない。タバコは体に悪いから止めた方がいい、お酒だってほどほどにしないと身体に障る。止めたに越したことはないのだ。それが健康のもとである。女は間違ったことはいっていないのだ。だが・・・。
「だけど、誰もがあなたが悪い、と思っている」
「そうよ、そうよ、私は間違っていないのに・・・・。だけど、あの男は、私にうるさい!といった。私は、そんな態度だから、タバコも止められないような人間だから、出世しないのよって言ってやったわよ。それの何が悪いの?。私は事実を言ったまでよっ!。それなのに、あの男は・・・・私に向かって出ていけっていったのよ。だから、私は言ってやったわ。あんたみたいな人間を雇っている会社も会社よ。そんな会社、絶対につぶれるわ。その時はあんたは泣きを見るのよ。私の言うとおりだったってわかった時は、もう遅いのよ。いい気味だわ。あんたもあんたの会社も落ちぶれるに決まっているわっ!、てね。あははははは、で、そのあと、私はアイツを見捨ててやったのよ。あはははは」
女は大声で笑った。笑いながら椅子に座り、大きく息を吐いた。
「で、その男性の会社は潰れたんですか?、その男性は会社をクビになったのですか?、健康を害されたのですか?、泣きを見ているんですか?」
マスターの矢継ぎ早の質問に女はマスターを睨みつけ
「ふん、知るもんか。あんなやつのことなんか・・・知るもんか・・・・」
と横を向いたのだった。
「潰れてないんでしょ。泣きを見てもいない。いいえ、案外、あなたと別れてから幸せになっている・・・・そうじゃありませんか?」
マスターの言葉に、女は口をひん曲げ、眉間にしわを寄せて、不貞腐れた態度で横を向いていた。そして、小声で
「潰れてしまえ、潰れてしまえ、潰れてしまえ・・・・何もかも潰れてしまえ・・・・」
と言い続けていたのだった。

「どいつもこいつも私の言うことを聞かないのよ!」
女はそう叫んで突如として立ち上がった。
「私は正しいのよ。間違っていない。あいつらが、周りが、間違っているのよ。どいつもこいつ、私をバカにして!。誰も私の言うことを聞かないっ、みんな私をバカにしているっ・・・・。あんなヤツら、あんなヤツら、みーんな不幸になってしまえばいいのよ。いいえ、みーんな不幸になるに決まっているわ。うまくいくわけがないのよ。私を無視して、うまくいくわけがないわ。失敗すればいいのよ、潰れればいいのよ、不幸になればいいのよ、死ねばいいのよー!!!」
女はそう叫ぶと、はぁはぁと息を切らして立ちすくんでいた。
「哀れなものですね。最も不幸な者、それはあなただ。なぜそれに気付かないのですか?」
「私が不幸ですって?。私はぜーんぜん不幸じゃないわよ。今だって、別に不幸じゃない。たまたま私が気に入った仕事がないだけ。いいえ、私を雇えるような優れた会社がないから、働いてやらないだけよ。いいの、それで。子供たちが優秀だから、私を面倒見てくれるから。私のために喜んで働いてくれるの、私の子供はね。私の子育ては最高なのよ。だから、いい子に育ったの。親の面倒をよく見る子供にね。だから、私に働かせるなんてことはしないわ。すごいでしょ」
「子供に養ってもらうとは・・・・、いやはや、とんでもない親ですな。まだ、働ける年齢でしょうに」
「いいのよ、子供たちは好きで働いてくれるんだから。余計なお世話でしょ。うちのことに口を挟まないでちょうだい!。何よ、エラソーに。こんな小汚い店の人間が、エラソーに言わないでちょうだい」
「はいはい、そうですね。大きなお世話でした。あなたは、立派に子育てされたんですからね・・・・。でも、以前は働いていたんでしょ?。気に入らないから辞めた、そうじゃないですか?」
マスターにそう言われ、女の目の色が変った。怒りからなのか、両手が震えだした。
「何よ、何よ、何よ、あの女。実力もないくせにチーフになんかなりやがって。上司に媚なんか売りやがって。あぁ、わかった、あの課長、あの女の色気に騙されたんだわ。あの女、色気仕掛けで課長に媚を売ったんだわ。そうに違いない。じゃなきゃ、あんなバカ女がチーフのわけがない」
「私を差し置いて・・・ですか?」
「えぇそうよ、私を差し置いて、あんなヤツがチーフになったって、まとめることなんてできないわ。なにが、うまくいってますだ、ウソをつけ。うまくいってる訳なんかないくせに。あんなヤツがチーフなんて、うまくいくはずない。何が、みんな仲良くやってますだ!、ウソをつけ」
「でも、みんな仲良くやっている。少なくとも、あなたがチーフになるよりは、うまくいっているのではないですか?。そうは思いませんか?」
「う、うるさい!、どうせ私は嫌われ者よ。あー、もう、うるさい、うるさい、うるさい!。何もかもあいつらが悪いのよ。あいつらのせいよ、あいつらのせいで・・・・。あーくっそ!、あんな部署、潰れてしまえばいいのよ。いいえ、すぐにでも潰れるわ。絶対にね。あんなバカな連中の集まりだからね。潰れるのよ、潰れるのよ、潰れるのよ・・・・」
「でも潰れていない。うまくいっているのは事実・・・・ですよね。それをあなたは知っている」
マスターの言葉に女は目を向いた。悔しそうに歯を噛みしめている。
「ふん、今はそうかもしれないけど、す、すぐに潰れるわ。そうに決まってる!」
「それは・・・願望・・・ですよね」
「う、うるさい!。願望じゃないわ!・・・・そう予言よ!。予言してるのよ!」
「当たらない予言ですか?」
マスターが冷たく言い放った。女は両手を握りしめ、口を妙な形に曲げ、わなわなと震えていた。
「予言者ですか、あなたは。バカバカしい。いくら息まいてみても、現実は変りませんよ。あなたは嫌われ者だ」
マスターの言葉は刃物のようだった。女は眉間にしわを寄せ、口を曲げたまま、横を向いていた。

「何もいうことがないらしい。ならば・・・・」
マスターは、大きく息を吸い込むと
「いい加減にしないか、陰摩羅鬼!」
と叫んだ。
「いいか、陰摩羅鬼とは何か。それはあんたのような者をいうのだ」
マスターの口調はいつになくキツイものだった。マスターは、女に顔を近付けると、呪いを吐くような口調で
「陰摩羅鬼・・・・オンモラキ・・・というが、本来は『陰(いん)マーラ鬼(おに)』であろう。陰とは、陰の者、陰険な者を意味する。いや、それは心の陰の部分・・・妬み、羨み、恨み、ひがみ、蔑み・・・といった、心の陰のことを言うのだ。そう、あなたの心、そのものだ」
と言った。女は「うっ」と言いながら身を引いた。額から汗が流れ落ちた。
「マーラとは、インドの言葉で、悪魔を意味する。悪魔とは、人を害する者、人を呪う者のことだ。これも、あなたそのものだ」
マスターは、女から離れ、そういうと女を一瞥した。
「な、何よ、私が・・・私が呪ったというの?。黙って聞いていればいい気になって」
女はそういったが、その声に力はなかった。
「呪っているでしょ。あなたは呪っている。周囲の者すべてをね。みんな不幸になればいい、潰れてしまえばいい・・・・なたはそういった。これは呪いの言葉だ。不幸になれと呪っているのだ。まさに・・・」
マスターは、女の耳元に顔を近付け
「悪魔そのものだ」
というと、顔を遠ざけたのだった。
「あ、悪魔・・・・私が悪魔?、いい加減にしてよ、私のどこが悪魔だっていうの?。なんてひどい人。なんてひどい店なの?。客に向かって悪魔とは何よ!。バカにするのもいい加減にしなさいよね!。こんな店、こんな店、ぶっ潰れるに決まってるわ!」
女はこぶしを振り回して、そう叫んだ。マスターは、冷やかに女を眺めていた。そしてふと笑うと、
「それこそが鬼。そうやって大声で叫び、喚き、時に暴れる。まさに鬼だ。今のあなたの顔、そういう顔を鬼の形相という。まさにあなたは陰なるマーラの鬼、そう陰摩羅鬼そのものだ!」
マスターは、女を指さし、そう叫んだのだった。

「お、おん・・・もら・・・・き・・・」
女はそうつぶやくと、椅子に崩れ落ちた。まるで、支えをなくした人形のように力なく座っている。
「いい加減に自分が陰摩羅鬼だと受け入れたらどうです。そうでないと、陰摩羅鬼から抜け出せませんよ。いつまでそのような姿でいるんですか。陰摩羅鬼でいる限り、誰もあなたを受け入れてくれませんよ。もっと素直になったらどうですか。本当は、周囲の人たちとうまくやっていきたいのでしょう?。だったら、自我を抑えることも知らなければなりません。ひがむのもよくない、妬むのもやめましょう、蔑みはもっとよくない。何もかも、自分が正しいと思うのは傲慢でしょう。実力もないくせに、偉そうな態度を取るのはいい加減にやめなさい!」
「じ、実力がない?。ど、どういうことよ。し、失礼じゃないの、そんなこと・・・・、そんなこと言わなくても・・・」
そういうと女は泣き崩れた。
「じ、実力がない・・・違うわ。私は実力はある。あるけど、受け入れられないだけよ。そうよ、実力はあるのに、何もかもうまくいかないのよ。どうやっても、思うようにならないのよ。私が何かやると、必ず反発される。何よ、少しは私の言うことだって聞いてくれてもいいじゃない。誰も彼も、私をバカにして・・・・もう、何もかも消えてしまえばいいのよ」
「実力があるなんて、自分でよく言えますね。うぬぼれるのもいい加減にしなさい」
「うぬぼれだって言うの?。私には実力が・・・・ないっていうの?」
「あれば、周囲の者もあなたについて行くでしょう。あなたの思うようにもなるでしょう。でも現実はならない。当たり前だ。自分の思う通りに行くわけなんてないでしょ。実力がないものが、周囲とうまくやっていこうと思えば、妥協もしなきゃいけません。周囲の意見を取り入れ、周囲と歩調を合わせていかねばなりません。何もかもが、あなたのペースで動くわけじゃあないんだ」
「だって、思う通りになっていく人だっているじゃないの、実力なんてないくせに」
「それは、その人が、周囲の意見を取り入れているからです。周囲の人たちに逆らわないからです。周囲の人たちと同意見だからです。それも実力の内。そういう意味では、あなたよりも実力があるんですよ、そういう人は」
「私は違うっていうの?。私はあいつらより劣るっていうの?」
「そうですね、あなたはあえて、周囲とは異なる意見を言うようだ。いや、同じことを言っても、あえて嫌な言い方をするようだ。周囲の者を怒らせるような、そんな言い方をする、そうでしょ」
女は黙り込んだ。
「あなたは、自分の意見が通らないからどんどん荒れて行く。すさんでいく。実力がないくせにあると勘違いして、自分の意見を通したいから、喚く、脅す、大声で叫ぶ・・・・脅すわけです。鬼ようにね。あなたは、単なる我が儘な女なんですよ。実力はないし、自分のこともよくわかっていない、実力もないくせに、さもできるように振舞いたいだけだ」
マスターは、そういうと女を冷たい目で見下した。

「きぃぃぃぃぃ!」
いきなり女が叫んだ。
「私を・・・・私を差し置いて・・・・お前らだけでうまくやろうなんて・・・きぃぃぃぃ!、許せない!・あぁぁぁぁぁ、もうぅぅぅぅ、何もかも許せない!お前らの幸せそうな顔、それが許せない!。みんな仲良く?、そんなの許せない!。なんで、なんでよ、なんで、そんなに夫婦仲良くやってるのよ!、あぁぁぁ、もう許せない。私より幸せなんて許せないのよっ!。私より楽しそうな顔をするなんて許せないのよっ!。なんで、私が抜けたらみんなうまくいくの?。あぁぁぁ、いやだぁぁぁぁ、もう許せない。許せない許せない許せないっ!。私より幸せなんて・・・・許せないのよっ!」
女は頭をかきむしりながら、泣き叫んだのだった。
「それがあなたの本音ですね。すべては妬みだ」
マスターは、氷のような冷たい声でそう言った。
どん!
女は、思いっきりカウンターを叩いた。
「妬んでなんかいないわ。気に入らないだけよ。あんな何も知らないような連中が、のうのうと生きているのが許せないだけよ。ふん、誰が妬むもんですか」
「いいえ、それを妬みと、世間では言うのですよ」
「ふん、ならば、世間が間違っているのよ。私は妬んでない。愚か者が浮かれているのが気に入らないのよ。ふん、実力もないくせに、バカなくせに、何も知らないくせに、楽しそうな顔をしやがって・・・・。私はね、そんなバカなヤツらに警告してやってるの。わかる、親切に教えてやっているのよ。あは、あはははは」
「それはそれは・・・・、なんという親切。あなたにそんな親切をされる方は、とても迷惑でしょうねぇ。最悪だ」
マスターの嫌みに、女は笑い声を止め、憎しみのこもった眼でマスターを睨んだ。
「そんな目で睨まれても、怖くとも何ともありません。上っ面だけですからね、あなたは。あなたには誰かをどうこうしようとするような、そんな眼力もありませんよ。いいえ、あなたは、他人の上を行くような、そんな実力もない。ましてや周囲の人からの信望もない。あなたの言うことなど誰も聞かないのは当然でしょう。誰もあなたが実力があるなんて思ってませんよ。いったいそんな自信がどこから湧いてくるのか・・・・。惨めで哀れなものですねぇ。陰摩羅鬼さん」
いつになく、マスターの口調はキツイものだった。女は、口をポカンと開けたまま、焦点の合わない目でマスターの後ろの酒瓶を見ていた。

女は、頭を左右に振った。まるで何かから逃れるように。
「ひどい・・・、ひどい言い方・・・。あんた、それでも人間?。ふん、悪魔はあなたよ。ひどいヤツだわ・・・・。あぁー、すっきりした。もう覚めたわ。ふん、こんな店潰れてしまえ。お前なんか、不幸になってしまえ・・・・。どうせ、どいつもこいつも私のことなんか理解できないのよ。もういいわ。・・・・そうよ、私は陰摩羅鬼よ。陰気臭くて、ひがんで、妬んで、羨んで、恨み事ばかり言っている、人の不幸を願っている悪魔よ。鬼の形相で周りの人たちを睨みつけ、あげく嫌われてしまう・・・陰摩羅鬼よ。でもね、何度でも言うわ。私には実力があるの。力があるのよ。私は、優れているの。みんなが何もわかってないのよ。だから、教えてやろうとしてるのよ。それが何よ、よってたかって、お前の意見は非現実的だとか言って・・・・。私の方が正しいのに、あんな甘っちょろい考えが通るなんて、許せないのよ。あいつらこそが、実力がないのよ。だから、呪ってやるのよ。そうよ、呪ってやるわ。一生呪ってやるわ。あんな連中、あんな会社、あんなヤツら・・・それから、お前もね。呪ってやる、呪ってやる、呪ってやる。そうよ、潰れてしまえばいいのよ。何もかもね。私が認めたもの以外、みんな不幸になってしまえばいいのよ。それの・・・・それのどこがいけないのよ!。・・・・うふふふ、そうよ、その通りよ、私は陰摩羅鬼よ!。それのどこがいけないのよ!」
女は立ちあがってそう叫んだ。
「いいえ、陰摩羅鬼でいいでしょう。そうあなたが認めるならば、それはそれでいい。あなたは陰摩羅鬼として生きていけばいい。・・・孤独に耐えながらね」
そう言ったマスターの顔は、闇の中に浮かぶ死人のようだった。
「ひっ」
女は息を吸い込むような小さな叫び声をあげると、傍らに置いてあったバックを掴んだ。バックから財布を出し、カウンターの上に一万円札を一枚置くと、逃げるようにドアの方に向かった。
「あなたは、この先も一生陰摩羅鬼として生きるがいい。実力があると勘違いをし、世の中を呪い、世の中を恨み、妬み、蔑み、そして孤独に耐えて生きて行くがいい。陰摩羅鬼にはそれがお似合いだ。一人ぼっちで生きて行くがいい」
「いや、いやーっ!」
女はそう叫ぶと、ドアを乱暴に開けて外の闇の中に消えて行ったのだった。
マスターは、大きく溜息を吐いた。
「救い難きは、陰なる心に支配された者・・・・か。陰なる我を捨てきれない者は、生きるのが苦しいばかりなのに・・・」
マスターは、そうつぶやき、カウンターの上に転がっていたグラスを下げたのだった・・・・。


第七夜 陰摩羅鬼(おんもらき)の棘 完




See You Again  by-nagisa

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