むかしむかし、あるところに、ネコを飼(か)っている家がありました。 ネコはすっかり年をとっていて、一日中、家の中でゴロゴロしています。 ある日、その家のおかみさんが、カガミの前で化粧(けしょう)をしていたら、そこへネコが来て、「まあ、きれい」と、言いました。「おせじでも、うれしいねえ。だれだい?」 おかみさんがふり…
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むかしむかし、能登の国(のとのくに→石川県)のある岬(みさき)に、大島藤五郎(おおしまとうごろう)という浪人(ろうにん)が住んでいました。 藤五郎は魚のなます(魚や貝などをこまかく切って、すにひたした食べもの)が大好きで、これがないと一日もがまんができません。「よくもあきずに、毎日毎日食べられるものだ」と、人がいっ…
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むかし、たとえ殿さまでも、けらいにいつ首をとられるかわからない、戦国(せんごく)の世のことです。 ある夕方、かみのまっ白な、見たこともないじいさんがお城へやってきました。 門番がおいかえそうとしましたが、じいさんは、スルリと門をくぐりぬけて、なかへ入ったのです。「くせものじゃ、とりおさえろ!」 さむらいたちがさ…
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あまりの美しさに白鷺城(しらさぎじょう)とよばれ、国宝であり世界遺産でもある姫路城に、古くから伝わるお話しです。 むかしむかし、このお城の天守閣(てんしゅかく)に、幽霊(ゆうれい)がすみついているとのうわさがたちました。 そのため昼間でも、天守閣には誰一人、近づきません。 ある雨の夜の事。 お城にとまりこんで、…
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むかしむかし、山城の国(やましろのくに→京都府の南部)に清養院(せいよういん)と言う、お寺がありました。
ある夏の夜の事、お腹をこわした和尚(おしょう)さんが便所に入っていると、庭の木戸(きど→庭や通路の入口などにもうけた、屋根のない開き戸の門)から、「これ、これこれ」と、呼ぶ者がいます。(はて? 今頃、誰…
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むかしむかし、漁師が川に船を出して、夜釣りをしていました。 ところが、どうした事か、今日は一匹も釣れません。「今夜は、あきらめて帰るとするか」 漁師がそう思っていると、釣りざおが突然、弓なりになりました。 めったにない、大物の手応えです。 喜んで引き上げると、「・・・へっ? ギャァァァーー!」 釣り糸の先には、…
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むかしむかし、江戸(えど→東京都)の堺町(さかいまち)には、いくつもの芝居小屋(しばいごや)が並んでいて、たいそうな賑わいでした。
ある日の事、きれいな娘が一人で、 ♪チリン、チリンと、ゲタの鈴(すず)を鳴らして芝居小屋の前の人混みを歩いていました。 よほど芝居好きなのか、一枚、一枚、どの小屋の絵看板(えか…
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むかしむかし、徳蔵(とくぞう)という船乗りがいました。 船乗りの名人として知られ、徳蔵の操る船は、どんな嵐も乗り切り、これまで一度として遭難(そうなん)した事はありません。 だから船主たちは、大事な荷物を運ぶ時、必ず徳蔵の船を選ぶほどです。 しかし、そんな徳蔵にも、肝(きも)を冷やす様な出来事がありました。
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むかしむかし、ある村の寺に集まった若者たちが、百物語を始めました。 本堂には百本のろうそくが立てられ、怪談を語り終えた者から順番に一本ずつろうそくの灯を消していき、最後の百話が終わる頃には夜もふけていました。 最後まで寺に残っていた庄屋の息子と刀屋の息子は、同じく最後の話を語った小坊主のすすめで、そのまま寺の本堂に…
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むかしむかし、那覇(なは)の町に、みえ橋という橋があって、その橋のたもとに一軒のアメ屋がありました。 ある夏の夕ぐれ、その日は朝から、しとしとと雨が降り続いていました。「ああ、こんな日にアメを買いに来る人はいないだろう。少し早いが、店じまいをしよう」 アメ屋のおじいさんは、久しぶりに早く店を閉めました。 そして一人で、…
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