日光(栃木県)の二荒山神社(ふたらさんじんじゃ)に、高さ六尺(約百八十センチメートル)ほどの唐金(からかね→青銅の事)のとうろうがあります。 このとうろうは、むかし、この近くの鹿沼(かぬま)にすんでいた鹿沼権三郎入道教阿(かぬまごんざぶろうにゅうどうきょうあ)という人が寄進(きしん→社寺などに金品を寄付…
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むかしむかし、江戸(えど→東京都)の侍(さむらい)が仕事でよその国へ行くとき、一人の男を召使いとしてやといました。 その男が実によく気のつく男で、どんな用事をいいつけても、てきぱきとかたづけてくれるのです。 侍はこの男が気にいって、いつか正式の家来にしたいと思っていました。 さて、旅の途中、美濃の国(み…
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むかしむかし、丸岡城(まるおかじょう)が築城(ちくじょう→城を建てること)された時のお話です。 どうしたことか、丸岡城は何度建てかけても、城がくずれてしまって建ちませんでした。 お城を建てる責任者は、最後の方法として人柱(ひとばしら)を立てることを考えました。 そして、人柱の希望者をつのりました。 でも、自分から命…
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むかしむかし、会津(あいづ→福島県)の殿さまのもとに、直江山城守兼続(なおえやましろのかみかねつぐ)という家老(かろう)がいました。 ある時、三室寺庄蔵(さんむろじしょうぞう)という山城守(やましろのかみ)の家臣(かしん)が、ささいなことから家来の一人を殺してしまいました。 それを知った、殺された家来の身内…
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むかしむかし、ある村はずれに景色のいい浜辺がありました。「おおっ、なんてすばらしいながめだ」 たまたまそこを通りかかった男が、ふと前を見ると、若い女がひとりで、松の木によりかかって海を見ていました。 顔はよくわかりませんが、そのうしろ姿は美くしく、男はひとこと声をかけたくなりました。(なんていおうか。それと…
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むかしむかし、一そうの船が、荒波(あらなみ)のなかを走っていました。 ながい航海(こうかい)もおえて、まもなく港につくというころ、晴れわたっていた空のゆくてに、ポツンと一つ、点のような黒雲があらわれました。 雲は陸地のほうから、しだいしだいに、こっちへやってきます。 船に近づくにつれて、黒雲は、だんだん大き…
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むかしむかし、たびの男が、ひとりでさみしい山みちをあるいていました。「ああ、日はくれるし、はらはへるし、こころぼそいことになってしまった」 男がトボトボと歩いていくと、どこからともなく、 ショキショキ、ショキショキと、アズキをとぐような音がしました。「やれやれ、このあたりに家があるらしい。うちのひとがアズキ…
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むかしむかし、ある村に、みすぼらしいたびの坊さんがやってきました。 日もくれてきたので、どこかにとめてもらわなくてはなりません。 坊さんは、庄屋(しょうや→詳細)さんの門をたたきました。「どうか、ひとばん、とめてください」 すると、庄屋さんは、「きのどくだが、とめられん。じつは、このあいだ、たびの男をとめて…
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むかしむかし、あるところに、すぐにけんかをする、あばれもののばくちうちがいました。 大きなからだの力持ちですが、はたらきもしないで、「なにかええことはねえもんかなあ」と、まいにち、ブラブラしています。 ところがある日、ばくちうちは、「おれもこの土地さえでたら、ちったあ運がまわってくるかもわからん」と、考えて…
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むかしむかし、信濃の国(しなののくに→長野県)に、満願寺(まんがんじ)という小さな山寺がありました。 このお寺には夜中のうしみつ時に、かならず山のお堂に明かりをつけにいくという、古くからつたわっているしきたりがありました。 このお堂の明かりは高いところに灯(とも)されるので、ふもとの村からもよく見えます…
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むかし、江戸の町に、やたいの酒うりがいました。 ひや酒(つめたいお酒)や、かん酒(あたためたお酒)をうるのです。「いまにも雨がふりだしそうで、いやなばんだなあ。まとまったお金があれば、ちゃんとした店でしょうばいができるのに」 酒うりの男がぼやいていると、「ちょっと、のませてくれんかね」 しらがのめだつ、おじいさ…
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むかしむかし、陸奥の国(むつのくに→青森県)のある村に、万次郎(まんじろう)という、とても気のよわい男がいました。 村のだれかがなくなると、今度は自分かもしれないと、いつもビクビクしているのです。 ある日万次郎は、死んだおじいさんから聞いた話を思い出しました。「一月十六日のま夜中に、人に見つからないように家…
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むかしむかし、広い田んぼを持った百姓家がありました。 そこの家では、毎年、夕顔やウリを作っていますが、ある年の事、この畑に泥棒が入るようになり、夜になるとせっかく育った夕顔を盗んでいくのです。 それがあまりにも続くので、たまりかねた主人はある晩、寝ずの番をする事にしました。 そして主人が物陰にかくれてい…
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むかしむかし、十歳になる文四郎(ぶんしろう)という村の子どもが友だちと浜辺で遊んでいると、浜の松林の中にある地蔵堂の裏から、小さなヘビがたくさん出てきました。「わぁーっ! ヘビだ、ヘビだ! 殺してしまえ!」 文四郎は叫んで、棒切れを手にヘビを追いかけました。 ほかの友だちも追いかけましたが、ヘビはすばやく岩…
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むかしむかし、ある村はずれに、大金持ちの家と貧乏な家がありました。 ある、吹雪の夜です。 白い着物を着た美しい娘が、お金持ちの家の戸を叩きました。「わたしは旅の者ですが、この吹雪で困っております。どうか、今夜一晩、泊めて下さいませんか?」 すると金持ちの主人は、「はん。お前がどうなろうと、わしの知った事か」と、ぴし…
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むかしむかし、江戸(えど→東京都)に有馬(ありま)という殿さまの屋敷がありました。 ある年の春の夜、殿さまが便所(べんじょ)へ行っての帰り、おぼろ月をながめながら渡り廊下を歩いていると、何者かが後ろからかけよってきて、いきなり肩に手をかけました。「何者!」 殿さまがふりむいた時、相手は両手で殿さまの…
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むかしむかし、元和二年(1616年)のある雨の降る夜、一人の侍が久々利城へと急いでいると、「助けてください。悪人に追われています」と、一人の美しい女の人が駆け寄ってきたのです。(夜だと言うのに、こんなところへ女が一人でいるのは怪しい) そう思った侍は、刀に手を掛けると用心深く腰を落としました。 すると、…
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むかしむかし、京の都のある屋敷(やしき)に、娘がくらしていました。 父と母にかわいがられて育ちましたが、もう、二人とも死んでしまっていません。 娘はお嫁にいくこともなく、屋敷をまもっていましたが、ある時、重い病気にかかって死んでしまいました。 そこで親戚(しんせき)の人たちがお葬式(そうしき)をすること…
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むかしむかし、あるところに、とても仲の良い二人の兄弟がいました。 この兄弟は、顔も性格も食べ物の好みもそっくりです。 ある日の事、二人は一人の女の人を同時に好きになってしまい、その女の人と結婚したいと思いました。 食べ物なら二人で分ける事も出来ますが、女の人ではそうはいきません。 その為に二人の仲はこの…
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むかしむかし、江戸の町に、駄菓子(だがし)をつくって売っている駄菓子屋がありました。 この店では、色々ある駄菓子の中でも、『ねぢがね』と呼ばれる、ねじり菓子が大人気です。 そこでこの駄菓子屋の主人のじんべえは、『ねぢがね屋じんべえ』と呼ばれていました。 このじんべえは、けちでも有名で、もらう物なら馬の食べ残…
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