"徒然草紙·夢幻庵"の記事一覧

2巻18話~滝登り

2巻18話~滝登り 「みずーい、水、水はいかがですかー?」 今の様に家に水道がないむかしは、水を売る水売りの声が、あちこちで聞かれていました。  ある日の事、両国橋(りょうごくばし)の上で、侍たちが何やら慌てて騒いでいました。 それと言うのも、侍たちが仕えている主人が、将軍さまに生きたコイを差し上…

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2巻17話~水、お望み次第

2巻17話~水、お望み次第  江戸時代には、色々と変わった商売がありましたが、そんな江戸の人たちも首を傾げる様な看板が、ある店にかけてありました。《水、お望み次第》 それを見た一人の男が、店の中に入っていきました。「ご亭主、『水お望み次第』とあるが、それはどう言う意味だ?」「はい。甘い水でも、辛…

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2巻16話~井戸掘り

2巻16話~井戸掘り  大きな仕事をするために、田舎から大勢の井戸(いど)掘りや大工たちが江戸へやって来ました。 そして井戸掘りや大工たちは、けちで有名なけちべえさんの長屋(ながや→むかしの集合住宅)に入りました。  ある日の事、けちべえさんが新しい井戸を掘らせようと、井戸掘り職人たちに頼んでみると、…

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2巻15話~ 新しい

2巻15話~ 新しい  山に猟に行った猟師が、大きなイノシシを見つけました。(しめしめ、一発で仕留めてやる) 猟師は鉄砲をかまえると、イノシシに狙いを定めて引き金を引きました。 しかし猟師はうっかりして、鉄砲に火薬だけを詰めて、肝心の鉛玉を入れてなかったのです。 それでもイノシシは、火薬の『パーン!…

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2巻14話~さぞおりこうで

2巻14話~さぞおりこうで  ある日の事、旦那が小僧に言いました。「いいか、人と言う物は変わる物で、子どもの頃はりこう者でも、大人になって馬鹿者になる奴がいる。 その反対に、子どもの頃はお前の様な大馬鹿者でも、大人になるとりこう者になったりするんだ。 だからお前もあきらめず、りこう者の大人になるんだ…

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2巻13話~用心

2巻13話~用心  あるところに、植木の大好きな旦那がおりました。 ある日の事、旦那は植木屋から手に入れた柳(やなぎ)の木を十本ばかり庭に植え込みましたが、近所の子どもたちがそれを珍しそうに見ていたので、いたずらをされる様な気がしてなりません。 そこで用心に、旦那は小僧に植木の番を命じました。  さて…

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2巻12話~寒い国

2巻12話~寒い国  ある寒い日、街角で二、三人が集まって、話をしていました。「それにしても、今年はひどく寒うございますな」「いやいや、このぐらいでは、まだまだ寒いとは言えませんよ。 何しろ加賀の国(かがのくに→石川県)の方では、小便をするにも出るそばから打折ってしなければ、棒の様に凍ってしまって、…

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2巻11話~浪人のこたつ

2巻11話~浪人のこたつ  朝から雪の降り積もる、寒い寒い日の事です。 貧乏浪人(→お城で働いていないお侍さん)のところへ、友だちの浪人が遊びに行ってみると、なんと暖かそうなこたつに入っているではありませんか。 この当時のこたつはとても高価な物なので、貧乏浪人に手に入る物ではありません。「おい、こた…

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2巻10話~女中の脈

 2巻10話~女中の脈  江戸のあるお店で働いている女中(じょちゅう→住み込みのお手伝いさん)は、とても控えめで、何かにつけて謙遜(けんそん→へりくだること)するのでした。  ある日の事、奥さんが風邪を引いたので、かかりつけのお医者さまに来てもらいました。  その時に奥さんは、ついでに…

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2巻9話~おまけ

2巻9話~おまけ  むかし、あるところに、とてもけちで有名な旦那がいました。 この旦那は、どんな物を買う時も、必ず値段を引かせてから買う事に決めています。 さて、ある日の事です。 旦那は店の小僧に、「いいか、うんとまけてもらって買って来るのだぞ。決して、相手の言い値では買うなよ。わかったな?」と、何度念…

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2巻8話~間抜けの文吉

2巻8話~間抜けの文吉  間抜けの文吉(ぶんきち)が旦那の言いつけで、小川に竹ざおを洗いに行きました。 ところが、いつまでたっても文吉が帰って来ません。「あいつは、何をしているんだ?」 たまりかねた旦那が様子を見に行くと、文吉は竹ざおを川に浮かべて、手元の方ばかりを洗っています。「こら文吉! いつま…

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2巻7話~かけ値

2巻7話~かけ値  ある日、店の旦那が小僧に、お客に品物を売りつける時のコツを教えてやりました。「いいか、お前は品物を売る時、かけ値をつけずに売ろうとするだろう。 だからなかなか、商売がうまくいかないんだ。 品物と言うのはな、一文で売ろうと思う時には、二文と高く値をつけておく。 五文で売ろうと思う時には…

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2巻6話~夜の暗いところ

2巻6話~夜の暗いところ  むかしはどこも道が悪かったので、人通りの多いところはいつも大勢の人夫(公共事業にかりだされた労働者)たちが集められて、道作りをしていました。 そこへ行灯(むかしの照明)を山の様に詰め込んだ荷車が、何台も何台も次々と通り過ぎて行きました。「うひゃーっ! これはまた、ものすご…

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2巻5話~かげぐち

2巻5話~かげぐち  料理屋で働いている権助が、表で薪を割っていると、同じ村から一緒に出稼ぎに来ている男がやって来て声をかけました。「よう、権助どん。調子はどうだね? ここは料理屋だから、さぞおいしい物を食べさせてくれるんだろうね?」「いや、それがな、ここは人使いは荒いし、その上にとんでもないけ…

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2巻4話~ほどほどに

2巻4話~ほどほどに  ある、北風の吹きつける寒い晩の事です。「火の用心、火の用心」 夜回りがひょうし木を打ち鳴らしながら、表通りを歩いていると、店のご隠居(仕事を引退して、老後生活を楽しんでいる人)さんが、この夜回りを呼び止めて、「この寒空の中をご苦労さん。まあ、酒でも飲んで体を温めていくがいい」と、…

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2巻3話~鬼は外

2巻3話~鬼は外  今日は節分です。 近所のあちらの家からも、こちらの家からも、「♪鬼は~外、福は~内」と、幸福を招き入れる為の、豆まきの声が聞こえて来ます。 この家では、主人が外出したまま帰って来ませんので、おかみさんが店の小僧に豆をまかせる事にしました。 ところがこの小僧は、緊張してしまって…

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2巻2話~聞き間違い

2巻2話~聞き間違い  ある男が眼の悪い佐助の手を引いて、眼の治療に連れて行きました。 歩いているうちに、道ばたに俵(米などを入れる、わらをあんで作ったふくろ)にくるまれた赤ん坊が捨ててあるのを見つけました。 男は驚いて、「おいおい! 佐助よ。ここに、俵にくるんだ子めが捨ててあるぞ!」と、教えました。 …

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2巻1話~身投げ

2巻1話~身投げ  むかしは橋によっては、渡るのにお金を取られたそうです。  夜遅くに髪を振り乱しながら走ってきた娘が、橋の料金小屋の前に一文(→三十円ほど)を投げて、橋の上を通り過ぎようとしました。 すると中から出てきた番人が、慌てて声をかけました。「これこれ、娘さん。この橋の渡り賃は、二文だよ…

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1巻31話~あんどん

1巻31話~あんどん  日が暮れて、薄暗くなってきました。 すると奥の間から旦那が、「これこれ、長吉(ちょうきち)どん。用があるから早く来ておくれ」と、よぶ声がします。「はーい」 長吉は、あわてて走り出したひょうしに、そばにあったあんどんにぶつかり、あんどんの火を消してしまったから、あたりはまっ暗です。…

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1巻30話~金箱のかぎ

1巻30話~金箱のかぎ  大阪の商人が、四、五人そろって、旅あきないに出ました。 品物をみんな売り尽くしての帰り道、みんなは一緒の宿に泊まりました。 商人たちは寝る前に、それぞれお金をかぎのかかる金箱(かねばこ→金銭・財宝を入れておく箱)に入れました。 そして、ふろしきに包んで、まくら元に置いて寝たのです。 と…

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