"巷百物語"の記事一覧

第125話~さんぽするひとだま

 あるばんおそく、さむらいがお城の仕事をおえて、屋敷へ帰っていく途中の出来事です。 まっ暗やみの道を、いそぎ足で歩いていくと、急にせすじがさむくなりました。 ふと前を見ると、なんと、フワフワとひとだまが飛んでいるのです。「ややっ、これはきみょうな」 さむらいは刀を抜くと、そのひとだまを追いかけていきました。 …

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第124話~舌をぬくおばけ

 むかしむかし、ある村の男たちが話しておりました。「八畳(はちじょう)のざしきに、八人でとまると、おばけがでるっちゅうぞ」「そんなこと、あるもんか」「いや、ほんとにでるっちゅう話だ」「それなら、ためしに、とまってみるとしよう」 こうして、村はずれのあき家の八畳のざしきに、八人してとまることになりました。 …

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第123話~おどるしかばね

 むかしむかし、あるところに、庄屋(しょうや)さんの夫婦がいました。 庄屋さんはまじめで、ふだんから、ねんぶつをとなえたりする人でしたが、おかみさんときたら、神も仏(ほとけ)もしんじようとはしません。 それどころか、やしきではたらいている人たちをビシバシはたらかせて、じぶんひとり、ぜいたくな生活をしていま…

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第122話~テンをたいじしたネコ

 むかしむかし、あるところに、長者が住んでいました。 長者には大へんきれいな一人娘がいて、目の中に入れても痛くないほどのかわいがりようです。 ところが、その一人娘が原因不明の病気になったのです。 真夜中ごろになると、突然息苦しそうにうなりだし、それが朝まで続くのです。 さっそく医者をよんでみてもらいました…

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第121話~冥土から帰ってきた奥さん

 むかしむかし、一人のお坊さんが、旅から旅の毎日をすごしていました。 ある日のこと、お坊さんがさみしい一本道を歩いていくと、日がくれてきました。「このままいけば、町があるはずだから、こんやは町でとまることにしよう」 お坊さんは道ばたのお墓のところで、一休みすることにしました。 草むらに腰を下ろして、足を休…

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第120話~幽霊のでる屋敷

 むかしむかし、あるところに、とても正直な夫婦がいました。 でも、正直すぎて人にだまされてしまい、ひどい貧乏ぐらしです。 ごはんもろくに食べないので、赤ん坊がうまれても、おかみさんのおっぱいがまんぞくにでません。 そこで、「よそへいって、はたらこう」と、ある町の長者(ちょうじゃ→詳細)のやしきで、はたらかせて…

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第119話~海ぼうず

 むかしむかし、あるところに、荷物船でにぎわう港がありました。 あるときのこと。 夏だというのに、今にも雪がふりだしそうな、はだ寒い天気です。 船頭たちが集まって、「どうしたわけだ。寒うてかなわん」「おかしな日よりじゃ。こんな日は、船をださんほうがええ」「ああ、なにがおこるか、わからんからな」と、はな…

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第118話~ばばいるか

 むかしむかし、山のなかの一けん家に、おじいさんとおばあさんがすんでいました。 子宝にはめぐまれませんでしたが、ふたりはひともうらやむほどに、なかむつまじくくらしていました。 あるとき、おじいさんがいいました。「ばば、わしもそろそろ年じゃ。いつ死なんならんやもしれんが、わしゃ、死んでも墓にゃ入りとうない。いつ…

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第117話~あぶらとり

 むかしむかし、ある村に平作(へいさく)というなまけものがいました。 いい年をしているくせに、嫁もむかえず、仕事もほったらかしで、日がな一日ゴロゴロしているのです。 村人はあきれてしまい、あいてにしませんでしたが、平作は観音様(かんのんさま→詳細)に、「観音さんや、おら、ずいぶんはたらいてきましたで、これ…

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第116話~旅人ウマ

 むかしむかし、あるところに、ふたりのわかものがいました。 ひとりは金持ちむすこで、もうひとりは、びんぼうむすこでしたが、ふたりはたいそうなかがよくて、いっしょに旅にでることにしたのです。 テクテクと歩いていたある日のこと、山のなかで日がくれてしまいました。 ふとみると、一けんの家があります。 ひとばんとめて…

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第115話~クジラと海のいかり

 むかしむかし、クジラとりの村で、長いこと不漁がつづき、村のみんなは困っていました。 そのころは、お百姓(ひゃくしょう→詳細)が米をねんぐとして代官所(だいかんしょ→江戸時代、地方をおさめた役所)などへおさめたように、そこの漁師たちも、クジラの肉を殿さまへおさめていたのです。 クジラがやってこなくては、ねんぐをお…

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第114話~おばあさんにばけた古オオカミ

 むかしむかし、ひとりの飛脚(ひきゃく→詳細)が、あるとうげにさしかかりました。 そろそろ暗くなりかけていましたが、旅にはなれていたので、今夜はとうげで野宿(のじゅく)をして、あすの朝早くむこうの村へおりようと、すたすた山道をのぼっていました。 とうげへでて、あたりをみまわすと、少しさきのほうに大きな木があり…

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第113話~あき寺の大入道

 むかしむかし、旅の僧がやってきて、村はずれのあき寺へとまることにしました。やねはかたむき、かべははんぶんほどもくずれおちていて、まるでおばけやしきです。(それにしても、なんてひどいあれようだ)僧はクモの巣をはらい、本堂のゆかの上にすわりました。そのゆかも、あちこちがやぶれていて、ゆか下から草がのびています。…

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第112話~ひとをおそうキノコ

 むかしむかし、ある山のなかに古いやしろがありました。 なんでも、やしろのまわりには、おいしいキノコがはえているというので、まい年秋になると、近くの村びとたちがキノコとりにでかけます。 ある年のこと、キノコとりにでかけた男が、夜になっても、もどってきませんでした。 村びとたちがしんぱいして、つぎの日の朝早…

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第111話~おきだした死人

 むかしむかし、ある村に、ひとりの魚売りの男がいました。 町へ魚をしいれにいこうとして、山の近くの野道を歩いていると、キツネたちが二、三匹かたまって、ひなたぼっこをしていました。 男はキツネをおどかしてやろうとおもい、草のかげにかくれて、コッソリと近づき、いきなりたちあがって、「わっ!」と、さけびました。 さ…

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第110話~あかんべえおばけ

 むかしむかし、化け物屋敷があるときいた、気のつよいびんぼうざむらいがいました。「よし、おれが化け物を退治してやる!」 あれほうだいの屋敷に入りこんで、化け物があらわれるのをまっていますと、草木もねむるうし三つどき(午前二時ごろ)。 どこからともなく、おじいさんがあらわれました。 おそろしくも、なんともあ…

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第109話~大工さんと大入道

 むかしむかし、あるところで、うでのいい大工(だいく)さんが、一日の仕事をおえて、「さあ、うちへかえろう」と、どうぐばこをかたに、日ぐれの山みちを帰っていきました。 あたりはもう、だいぶ暗くなっています。 いそいで歩いていくと、きゅうに、ザワザワと風がふいてきました。 そして、赤い服をきた大入道(おおにゅうど…

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第108話~庭に現れた雪女

 むかしむかし、一人の俳人(はいじん→俳句を作る人)がいました。 ようやく雪もとけはじめた、ある明けがたのこと。 便所に行きたくなって廊下へ出ると、庭の竹やぶの前に、なにやら白いものが立っています。 ハッとして目をこすり、よくよく見てみたら、背の高さが一丈(約三メートル)もある大女で、髪の毛も顔もすきとお…

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第107話~空き家でおどるネコ

 むかしむかし、ある家に一匹のネコが飼われていました。 みんなからかわいがられ、まるで人間みたいにいばっていましたが、年をとってヒゲは白くなり、一日中いねむりばかりしています。 ところが、いつのころからか、夜になると家をぬけだし、朝までもどってこないことが多くなりました。(はて、いったい、どこへ行くのだろう?…

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第106話~旅は道連れ

 むかしむかし、一人の武士(ぶし)が、京へ向って旅をしていました。 ちょうど鈴鹿山(すずかやま)をこえようとした時、急に耳もとで、何か人の話し声がしました。(はて、きみょうな)と、あたりを見まわしましたが、誰もいません。「風の音かな?」と、歩き始めると、また耳元で話し声がします。 何を言っているのかわかりませ…

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