巻十五 (193)相応和尚、都卒天にのぼる事・染殿の后、祈りたてまつる事(下)

巻十五 (193)相応和尚、都卒天にのぼる事・染殿の后、祈りたてまつる事(下)  (つづき)  さて、当の宮様は、寝殿の母屋に伏していられた。 まことに苦しげなお声が、時折、御簾越しに聞こえてくる。  和尚が、かすかにその声を聞きながら声高く加持したから、 なるほどこの声には不動明王も…

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巻十五 (193)相応和尚、都卒天にのぼる事・染殿の后、祈りたてまつる事(上)

 巻十五 (193)相応和尚、都卒天にのぼる事・染殿の后、祈りたてまつる事(上)  今は昔、比叡山無動寺に、相応和尚という人がいた。 彼は比良山の西、葛川の三滝というところにも通って、修行を積んでいた。  ある時、その滝の中で、和尚が不動明王へ頼み込むには、「どうか私を背負って、都卒天の…

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2~「天之瓊矛(あめのぬぼこ)」

      2~「天之瓊矛(あめのぬぼこ)」 日本では古来より、自国を「神の国」や「神国」と表現することがありました。これは「天皇は神である」「天皇が治める国は、神の国である」と言う思想に基づくもので、その由来となるのが「日本神話」と呼ばれる古代史です。現在では、当時…

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巻十五 (192)伊良縁の世恒、毘沙門御下文の事

 巻十五 (192)伊良縁の世恒、毘沙門御下文の事  今は昔、越前国に、伊良縁の世恒(いらえのよつね)という者がいた。 食べるものさえ無い生活で、 熱心に信仰している毘沙門天に、ひたすら食べ物が欲しいとばかりに、「助けたまえ」 と頼み上げていると、家の者が、「門口に、不思議な恰好をした女が…

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1~土佐国の兄妹が知らない島に住む話

1~土佐国の兄妹が知らない島に住む話 今回の説話は『今昔物語集』の「土佐国の兄妹が知らない島に住む話」。親と生き別れ、無人島に流されてしまった少年少女の兄妹が、島を開拓、土着繁栄していく話です。私は『ロビンソン・クルーソー』などの、いわゆる漂流・無人島漂着譚に興味がありますが、「説話」にもそうした話…

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巻十五 (191)極楽寺の僧、仁王経の験を施す事

  巻十五 (191)極楽寺の僧、仁王経の験を施す事  これも今は昔、太政大臣の堀川兼通という人が、極めて重い病気にかかった。 さまざまな祈禱がなされて、世の僧侶たちで参上しない者はないというほどになり、 お屋敷へ参上し、集っては御祈禱したので、賑やか、騒々しいこと限りなしであった。  と…

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巻十五 (190)土佐判官代通清、人違えして関白殿に会い奉る事

巻十五 (190)土佐判官代通清、人違えして関白殿に会い奉る事   これも今は昔、土佐判官代通清(みちきよ)という者があった。 歌をよく読み、源氏物語、狭衣物語などを慕って、 花の下や月の前など、風雅な場所を歩き回っていた。  さてこういう粋人なので、ある時、後徳大寺左大臣から、「大内の…

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第八夜~鉄鼠もどき···後夜

第八夜~鉄鼠もどき···後夜 「くっそ~、どいつもこいつも俺をバカにしやがって、俺のことを虚仮にしやがって・・・・。許せねぇ・・・・絶対に許せねぇ」男の眼は、怒りに燃えていた。「何が・・・坊ちゃんにはこの会社を維持することは無理です、だ!。あのクソジジがっ!。俺を何だと思ってるんだっ!。クッソ!…

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巻十五 (189)門部府生、海賊射かえす事(下)

 巻十五 (189)門部府生、海賊射かえす事(下) (つづき)  さて、府生が相撲取りを招くため諸国へ下り、 数えきれないほどの力士を招集し、都へのぼる途中、 一行は、かばね島、というところを通った。  ここは海賊の集るところで、通過しようとしたとき、連れていた相撲取りが、「あ…

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1~日本神話・説話に登場の伝説の剣

1~日本神話・説話に登場の伝説の剣 刀剣にまつわる物語は、史実として残されているだけでなく、神話や説話としても伝承されてきました。なかには妖怪を退治したと伝わる刀剣や、歴史上の人物にまつわる伝説に登場する刀剣もあります。 「神話・説話に登場の伝説の剣」では、古事記・日本書紀をはじめとする書物や神話に…

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巻十五 (189)門部府生、海賊射かえす事(上)

 巻十五 (189)門部府生、海賊射かえす事(上)  これも今は昔、門部の府生(かどべのふしょう)という、小役人がいた。  若く、身は貧しかったが、 的当て用の「真巻弓(ままきゆみ)」という弓を好んで、よく射ていた。  府生は夜間にも射るため、屋根の薄い葺き板をはがし、 それを燃…

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巻十五 (188)賀茂祭の帰り、武正・兼行御覧の事

 巻十五 (188)賀茂祭の帰り、武正・兼行御覧の事  これも今は昔、 賀茂祭の供奉役に、下野武正と、秦兼行が任じられた。  さて、祭の行列が出た帰り、法勝寺殿こと藤原忠通が、 紫野で行列の様子をご見物になっているとのことで、 武正、兼行とも、我が殿様がご覧になる――と知って、 ことさらに身…

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巻十五 (187)頼時が胡人見たる事

 巻十五 (187)頼時が胡人見たる事  今は昔、胡国というのは、唐より遙かに北にあると聞こえているが、「我国の陸奥から、陸続きになっているらしい」 と、九州にいる宗任(むねとう)法師というのが語っていた。  この宗任法師の父は、安倍頼時という蝦夷、奥州の荒くれ者だった。 あるとき、頼時…

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巻十五 (186)清見原天皇、大友皇子と合戦の事(下)

巻十五 (186)清見原天皇、大友皇子と合戦の事(下)  (つづき)  さて大海人皇子は美濃国へ入り、洲股の渡りというところへ着いたが、舟が無い。 ふと見ると、湯桶に布を入れて洗っている女がいるので、「この渡りを、何としてでも渡りたいが」 と、お尋ねになると、女が答えるには、「一昨日のこ…

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巻十五 (186)清見原天皇、大友皇子と合戦の事(上)

 巻十五 (186)清見原天皇、大友皇子と合戦の事(上)  今は昔、天智天皇の御子に、大友皇子という人があった。 太政大臣として、政治を行っていたが、心の中では、「今の帝がお亡くなりになった後、次の帝には、わしがなろう」 とお考えになっていた。  その当時、清見原天皇こと天武天皇は、…

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第七夜~鉄鼠もどき···前夜

第七夜~鉄鼠もどき···前夜 「ここだよな、ここしかない・・・よなぁ・・・。えっと、この通りのこの場所だから・・・」その男はメモを見ながら、その通りのある店のドアの前でブツブツと独り言を言っていた。きっと、そのメモには周辺の地図が書いてあるのだろう。メモから目を離すとドアに向かい、小さな声でため息交じり…

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